
| てのひらが君の乳房を包むとき我を捨てたる母を想ひし | 横井 光太郎 (愛知県) | 
| 水色の小さな傘を雨つぶがおこったみたいにたたく失恋 | 小池 舞 (新潟県) | 
| 虹と言えば君への架け橋風と言えば愛の言葉をささやいている | 屠 潔群 (中国) | 
| 夕闇と君の浴衣は同じ色はぐれぬように手をさし出した | 寳田 佳奈 (東京都) | 
| 葉の上にかたつむり這ふ紫陽花を白磁に挿して君を待ちをり | 旭 千代 (千葉県) | 
| ふれられた髪のひとすじひとすじにもうすぐ引火しそうな夕陽 | 大森 静佳 (京都府) | 
| 帰り道君が自転車こぐ側を優雅に泳ぐ魚になりたい | 槇原 聡一郎 (岡山県) | 
| 猫抜けて猫の形のすきま風君に会えない長い週末 | 倉知 明日香 (静岡県) | 
| 葉から落ちしずくが広げる波紋の渦あなたの言葉が私を動かす | 網野 史恵 (青森県) | 
| 思うより華奢なあなたの書く文字がビードロの様に弾ける夏の日 | 窪田 薫 (沖縄県) | 
| 氷河期の僕にも遂に恋の春片想いだけの三寒四温 | 渡辺 千尋 (神奈川県) | 
| 君と居た季節は草の匂いさえ優しく感じた恋はマジック | 大石 哲平 (新潟県) | 
| 急速に終わりはじめる夏きみに告げてしまえとひぐらしが鳴く | 糸原 ちひろ (東京都) | 
| 紺青のスペリオル湖の岸ゆけばあなたのような汀線にあう | 西岡 徳江 (アメリカ) | 
| くつばこに君のくつがまだあった「とりに行こう」教室にある三角定規 | 浜崎 志帆 (熊本県) | 
| 喉の奥ではじけた炭酸のみこんで振り向いて見る君からの風 | 山﨑 渓子 (岡山県) | 
| 今は無き秘密の基地とあの笑顔君との思い出ヒラタクワガタ | ムラ (愛知県) | 
| 今夜ボクの立ち位置はここ句読点、満月の君に寄り添う木星 | 上木 悠太 (北海道) | 
| 横に立つきみのハートに当てようとピンを睨んだボウリング大会 | 河島 はる子 (石川県) | 
| “りんごさん”背中に響く甘いこえ鏡に写る未熟な恋 | 渡邉 恵実 (東京都) | 
| 夏祭りきみの背中は近いのに追い越せないのはこの下駄のせい | 望月 珠里 (東京都) | 
| 「おやすみ」と言う君の声まだ残る右耳熱いまま眠る夜 | 諸角 早智 (東京都) | 
| 早く来てガラスのくつなら落としたわ今どこにいる運命の人 | 松村 美穂 (福井県) | 
| 東京じゃ見れない空を見せたくてフォルダはいつも空でいっぱい | 土井 沙弥 (宮城県) | 
| 放課後の屋上ひとりで叫ぶんだ古典的でも「君が好きだ」と | 前川 沙央里 (香川県) | 
| もう二度と会わぬと決めた携帯のバイブの振動恋は揺れてる | 鶴巻 和沙 (新潟県) | 
| 十八時バス停で待つ君照らす西陽の色は秋に変わった | 関根 杏奈 (新潟県) | 
| 夏の夜ベガアルタイルデネブ見た君との想い出光を探す | 和泉 真由 (新潟県) | 
| 君がいた桜遍くこの坂は僕が魔法にかかった場所だ | 牧田 尭之 (福井県) | 
| あじさいに僕の気持ちがつまっているしかしあなたはひまわりが好き | 笠原 脩生 (静岡県) | 
| すこしだけ深入りしたい夜もあり甘口ロゼの注文をする | 岩本 幸久 (広島県) | 
| きりきりと弓引くあなた真剣なその目で見てよ私のことを | ゆなっち (兵庫県) | 
| 「自販機で悩まないでよ」「だからって勝手に押すな!」「でもコレ好きでしょ?」 | 中原 桃子 (岡山県) | 
| お早うのスキンシップはあたたかくトースト二枚跳ね上がる朝 | 重川 敏子 (徳島県) | 
| チョコレート綺麗に作ったはずなのに私の手の熱高すぎたのよ | 河野 舞香 (東京都) | 
| 夕暮れの川面に映る君の影空に映るは真っ赤な想い | 日野 慎也 (埼玉県) | 
| 雨がやみ窓から見つけた虹色の橋にすべらせ想いよ届け | 桑原 優奈 (埼玉県) | 
| 一期一会君との出逢いは一期一生いつもありがとうこれからもよろしく | 加藤 優果 (宮城県) | 
| 絶え間なく笑顔を見せる君だけどはかなく光る蛍のようで | 長谷川 千明 (三重県) | 
| マスカット「私は好き」と二ツブの飴をくれたね十月の君 | 石川 翔太 (新潟県) | 
| 右の手の受話器のむこうの静けさが悲しいくらい遠くに感じた | 太田 大智 (新潟県) | 
| イヤホンを分け合い曲を聞く時が一番縮むあなたとの距離 | 本藤 加奈子 (新潟県) | 
| 五十年を経て返されし恋文にナフタリンの匂いす哀し | 池谷 秀雄 (千葉県) | 
| 眠れない君と聞いた雨音がひとりの部屋に響いてるから | 今井 恵美 (鳥取県) | 
| かくれんぼ君が隠れる場所だから先回りして花を置いとく | 草之介 (兵庫県) | 
| 愛でさえ埋められないね時差9時間あなたの今日を私は知らない | 田山 野恵 (東京都) | 
| レポートで「故意に」と打つと「恋」になる忘れたはずの想いが戻る | 永田 翔子 (三重県) | 
| ベース弦つまびく長き指がすき髪なずるとき頬ふるるとき | 野埜 百合 (大阪府) | 
| 部屋を出てもう三年がたつけれどまだ捨てられぬ連名プレート | 嶋田 怜輔 (東京都) | 
| 伸びかけのあなたの髪がカールして音符のように春風にはしゃぐ | 藤沢 美由紀 (神奈川県) | 
| かじかむ手君のポケットで温められ聖夜の街のひかりと遊ぶ | 鮒子田 靜江 (神奈川県) | 
| わやわやと磁場うつくしくえがきだすシンメトリックはあなたの脳(なずき) | 栗林 草 (福岡県) | 
| あと五分待ってみるけど小指からテントウムシが飛んで行きそう | 白銀ぽっぽ (徳島県) | 
| 幾年も共に仰ぎしジャカランダことし吹雪てわれを被いぬ | 冷 順子 (アメリカ) | 
| 着信の青き光の瞬きは囁いている揺れ動いている | 泥谷 みさを (福岡県) | 
| 待つといふ時間優しく熟すまでオレンジ色のペディキュアを塗る | 澤野 ゆき (滋賀県) | 
| 明日の朝二人で桜を観ましょうと今言わないで人混みの中 | 常遊 (静岡県) | 
| 不器用な貴方が作ったオムライス不思議な味とハートの人参 | 津田 百合絵 (福井県) | 

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