真っ直ぐな君への思いに気づきけりさ緑の蕗(ふき)シュルッと剥く時 | 宮島 紀子 (50) |
地球から落ちそうになる真夜中にあなたの腕を想っています | 大川 瑞穂 (22) |
砂浜にすくったクラゲを投げてみた八月の恋ひからびて行く | 富樫 宗一郎 (17) |
恋するに齢は関係ありません青空の下檸檬を齧る | 篠原 和子 (69) |
マウンドの水まきホースの先にある小さな虹を君に見せたい | 矢口 綾太 (18) |
八月の炎天下の公園で君への告白逃げ水になる | 矢和田 芳浩 (18) |
墨の香と月の光を封じたる君への文をポストに入れぬ | 澤田 榮 (81) |
搾りたてのミルクのように暖かなあなたの嘘を飲み干してみる | 岩本 幸久 (47) |
ワルツ弾くあなたのそばで譜をめくる斜め後方肩ごしの恋 | 斎藤 ようこ (52) |
「恋なんだ」季節はずれの向日葵が背中を押したオレンジの午後 | 山口 優美 (16) |
もう恋はしないと決めた日曜と、あっさり恋に落ちてる土曜 | 宮川 亜弓 (16) |
つきのふねながれながされあなたへとたどりついたら夜ごと抱いて | 山本 佳奈 (16) |
好きだよと耳元でそっと呟いたそれはまるで真綿の呪縛 | 佐藤 千種 (15) |
その指の形を帯びてへこみゆく絵の具チューブが炙り出す恋 | 糸原 ちひろ (23) |
東京学館新潟高等学校 埼玉県立杉戸農業高等学校 |