
| 窓越しの狐の嫁入り眺めてはあなたの嘘もコーヒーに溶く | 松岡 歩未 (愛媛県) | 
| 待ち合わせダッフルコートの肩の雪はらった時に君が香った | 杉本 由宇 (新潟県) | 
| 亡き夫の失くしし時計茶畑に錆びて在りしよ抱きて戻る | 小野 久子 (高知県) | 
| みづうみと君が小さく書いたからノート開けば青がたゆたう | 横井 美穂 (東京都) | 
| 月光が君の笑顔をうつすとき僕の心に光差しこむ | 桑鶴 海良 (鹿児島県) | 
| 上下する胸に耳あて目を閉じる君を育てた海に抱かれる | 小島 美由貴 (長野県) | 
| かき氷さくさくならせこの恋が夏の暑さにやられる前に | 秋田 瑞穂 (大阪府) | 
| 洗濯を慣れぬ手つきで干す君が愛しいたまにはつわりも良いね | 阿部 さゆみ (千葉県) | 
| 金魚鉢上から見てる方が好き白い尾びれが君探してる | 井村 萌 (新潟県) | 
| 嫉妬しか知らない恋の経験がノートのくせ字に少し出ている | 高橋 悠司 (新潟県) | 
| 演じてる君用の僕が1人居て本当の僕より3割明るい | 渡辺 隼任 (新潟県) | 
| 彼岸花が呼んでも行ったら駄目ですよ出がけに妻がまた念を押す | 中山 大三 (福井県) | 
| しあわせはふたりで作るぴったりとシチューの鍋に蓋をあわせる | 高橋 梨穂子 (新潟県) | 
| 恋だった、恋だったって傘を打つ雨粒いつか光となりぬ | 梶山 志緒里 (東京都) | 
| 点滴に繋がれ廊下で君と逢う互いに振り向き時間が止まる | 加藤 繁秋 (岐阜県) | 
| 目の前のユニフォーム着た君の手に思いをのせて白球渡す | 堺屋 七菜子 (佐賀県) | 
| 夕暮れに追いついて来た彼の影並んで伸びる重ならぬまま | 吉原 千尋 (鹿児島県) | 
| パンパスのゆれれば心騒立ちてDearで始まる文したためる | 西岡 徳江 (アメリカ) | 
| 夕焼けを卵でとじたオムライスあなたの当たり前になりたい | 高澤 純 (東京都) | 
| きみの息吹き込むフルートわが内へ美しき小川となりて流るる | 忽滑谷 三枝子 (群馬県) | 
| バケツもち仔牛のミルク運ぶため二人で歩く牛舎への道 | 原 里恵 (北海道) | 
| 何気ないお礼の手紙の空欄に『好き』と浮かぶ筆圧の跡 | 津田 百合絵 (福井県) | 
| プロポーズしてしまえばとひまわりが後押しをする青い夏の日 | 髙橋 友佳 (長野県) | 
| 「あなただけ見つめています」という花言葉ひまわりの嘘が枯れてゆきます | 吉田 光男 (埼玉県) | 
| 「ばかだなあ」私を庇う愛ですか耳がくくくと笑いつづける | 田村 ひろ子 (兵庫県) | 
| 妊娠を告げる貴女の真っ直ぐな視線に我の背筋が直る | 前田 謙 (静岡県) | 
| あっさりとじゃあねと彼を見送ってさりりさりりと梨を食みたる | 水野 大雅 (愛知県) | 
| 背を向けて売店弁当食う妻よ介護四日目疲れがにじむ | 吉田 巖 (千葉県) | 
| 自販機にホットドリンク増える頃炭酸みたいな恋なくなった | 笹川 莉沙 (新潟県) | 
| 恋眼鏡かけると世界は変わってくツユクサの花がハートに見える | 渡邊 春華 (山形県) | 
| 観覧車ゆっくり回れもう少しも少し彼と見つめあうから | 伊藤 唯花 (岐阜県) | 
| 二人してドクターフィッシュが掃除したまっさらな手をつないで帰る | 駒井 華央里 (石川県) | 
| 現国のテストよりなお詳細に行間探す君からのDМ | 林腰 杏優 (石川県) | 
| 私たちしゃべり続けた信号が五度目の止まれを命じる前で | 宮本 幸乃 (長崎県) | 
| 「月がきれい」と言い出せなくて「つ」の音で転びそうになる純情な僕 | 野田 海斗 (栃木県) | 
| たわい無い会話を惜しむ教室で「さよなら」以外の言葉を探す | 山田 優武 (愛知県) | 
| 繋ごうと伸ばした右手は空を切る逸らす目に映るジギタリスの花 | 井上 美月 (愛知県) | 
| 温度差があるから窓が曇ってる君と二人の感情みたい | 塩田 響 (新潟県) | 
| かけおちを断り父を択びにき今日逢ひに行く喜寿のあなたに | 日髙 尚子 (宮崎県) | 
| 辞書にある「恋」に貼りつく「男女で」を破った右手が震えてたのは | 山田 みほ (福井県) | 
| 敦煌のニコニコ食堂旅人の情報ノートに君の名探す | 伊良波 佐也加 (沖縄県) | 
| 寒いねとクシッっと笑うその顔が僕の心を真夏日にする | 福田 杏実 (群馬県) | 
| 卵焼き焼く君の手を見て思う揚げ物は僕が担当しよう | 増田 竹志 (大阪府) | 
| 「おかえり」と君のトーンはFあたり安らいでゆくふたひらの耳 | 岩本 幸久 (広島県) | 
| 老いたねと言われぬように髭を剃り妻に逢うため墓地へと登る | 岸野 洋介 (岡山県) | 
| 君からの電話を待って待って待って今日は川辺で半月を見た | 工藤 吉生 (宮城県) | 
| 「あなたが…」ときみの言うとき美しき「が」のびだくおんそよと風ふく | 村上 秀夫 (山形県) | 
| 地吹雪を背に下山への策を練るあなたと暮らす部屋を思って | 北村 行生 (兵庫県) | 
| キッチンのグラスのパセリのかたわれがあなたのお昼と繋がっている | 中山 美玖 (宮崎県) | 
| 開花宣言君のもとまで届いたら桜の言葉で告白したい | 松浦 桜香 (千葉県) | 
| 夜8時慣れぬヒールで背伸びする口付け交わした夜桜の下 | 小林 祐実 (大阪府) | 
| 良い妻になれるでしょうか作業着の洗濯機では落ちない汚れ | 小林 さおり (神奈川県) | 
| つぎつぎとフォークダンスの輪は巡り片思ひの君遠くなりたり | 山内 義廣 (岩手県) | 
| 傷のない条件ばかり並べてる恋は買い物とは違うのに | 岡田 美幸 (埼玉県) | 
| チョコレートいつもあげようと作るけどカバンの底に沈んでしまう | 村上 愛由花 (大阪府) | 
| くれなゐの雪の稜線なだらかに尽きし辺りが君の住む町 | 遠藤 吉光 (岩手県) | 
| 着信で君に溺れる夜の淵背伸びさせてよブラックコーヒー | 井関 紗羅 (愛媛県) | 
| カーブします大きく揺れます気をつけます君に心を預けはしません | 渡邉 小万智 (東京都) | 

東京学館新潟高等学校  | 
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鹿児島県立指宿高等学校  | 
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                  	 金沢大学附属高等学校 長崎女子高等学校 福井県立武生商業高等学校  | 
                
