君と行く全ての場所が思い出に変わる例えば自転車置場 | 土居 健悟 (愛知県) |
コーヒーより紅茶を選ぶようになり透き通ってる恋をしている | 柴田 麻衣 (宮崎県) |
好きならば告白しちゃえホトトギス教科書の中励ます信長 | 玉村 古都 (福井県) |
花びらのように金魚は掬われて君の瞳を独り占めする | 水谷 あづさ (奈良県) |
畳めない相合傘の思い出の町をなぞれば又雪便り | 松川 幸江 (埼玉県) |
長靴の片方がもう片方にもたれて私はあなたと暮らす | 小林 さおり (神奈川県) |
淋しさはさよならじゃなくそのあとの私の中の夕焼けにある | 河野 友希 (福岡県) |
両の手の上にわが手を重ねいて包む蛍のみどりの命 | 菅 伸明 (愛媛県) |
「レモンには酸味に隠した誠実な愛がある」とか呟いてみる | 山田 みほ (福井県) |
書道部の私の線はかすれてる恋だってそう、うまく書けない | 川島 百花 (新潟県) |
母さんが迎えに来る迄二十分ベンチの二人になれる十月 | 阿部 楓羽響 (新潟県) |
急行のごうと轟くその傍で「好きだ」ときみの口が動いた | 中野 薫 (神奈川県) |
鴨川に等間隔に並ぶ恋当日席はもうないですか | 榎本 明 (大阪府) |
液体のりを出しすぎたんだ封筒がベタベタなんだキミに会いたい | 石井 ちかえ (静岡県) |
簡単に心の垣根を越えてきて光源氏は教室(ここ)にも居たり | 平松 綾子 (岡山県) |
コンビニの角を出てくる君を待つ開き始めた桜が二輪 | 太田 陽奈美 (長野県) |
下校する街に鉄塔見える場所古びた街を君と歩こう | 池田 司 (新潟県) |
初恋の味が甘くてピンクなら私のこれは恋じゃないんだ | 星野 光咲 (新潟県) |
いつもより甘めに入れたカフェオーレそっと差し出し休戦を乞う | 藤田 毅 (滋賀県) |
お帰りと静かな声で言うように雨の降りだすあなたの故郷 | 西島 千尋 (静岡県) |
ポケットに病後の妻の細き指からませ巡る雪祭りの夜 | 矢田 寛 (岡山県) |
墨を摺る反復さえもいとおしくあなたを想う恋文ひとつ | 中村 成吾 (神奈川県) |
勝負だよくしっと笑う線香花火僕の心が先に落ちるよ | 髙嶋 純矢 (兵庫県) |
君のこと色んな方から見ているよこれはほぼもう富嶽百景 | 堀 眞希 (広島県) |
ゆったりと今の時間を泳ぎゆくジンベイザメを君と見ている | 山田 由美子 (愛知県) |
君の前プレパラートにのせられたミジンコみたいにむきだしの恋 | 原田 優美子 (石川県) |
くれなゐの枝差し交はす山もみぢ君の告白受けし峠路 | 杉崎 康代 (福井県) |
図書室の君の席まで背表紙は一途につづく銀河となりぬ | 佐藤 美弥子 (福島県) |
我が朱きじゅばんの袂ひるがえし左義長太鼓を叩く君が居た | 日下 正枝 (福井県) |
博物館君と並んで見た化石伝えずに来た想いに似てる | 青木 菜摘 (静岡県) |
交差点信号全て青信号会いに行きなと押された背中 | 今井 咲貴 (広島県) |
ひまわりの影に隠れる恋心私の想いは陽にも勝るのに | 佐藤 琉花 (広島県) |
街灯が世界を二人きりにする友達のまま帰りたくない | 大嶋 葵 (大阪府) |
砂時計最後の砂が落ちるまで太陽みたいな笑顔を見せて | 外川 桃寧 (北海道) |
君が去るその数秒後風が吹くどこからか来た寂しさの波 | 高森 奈央 (北海道) |
白き息君と夜空を見上げてはオリオンよりも君が眩しい | 金内 ゆか里 (北海道) |
「つめたい」のペットボトルを持つ指を見るだけだった初恋だった | 金治 加純 (石川県) |
ありったけ君への想い弾丸に詰め込んだからあとは撃つだけ | 東 美里 (石川県) |
どんな時もあなたの声を聞いたなら私の元気は充電される | 鈴木 怜菜 (愛知県) |
降る雪が天から届く手紙ならとけずに積もれ君の手の平 | 柘野 茂樹 (神奈川県) |
数えれば三万余日を生きてなお君への恋はいまだ変わらず | 岡 恵子 (秋田県) |
睡蓮の桃色の花開く様に君に微笑みかけてみようか | 田中 亜紀子 (三重県) |
「あ、花火」電話越しに君が言う僕にもそれが見えた気がした | 居川 ひとみ (広島県) |
変化球みたいな恋は似合わない宣言します全球直球 | 宇野 開登 (福井県) |
波音に隠して伝えるくらいなら想いを海に流せばいいのに | 榎 真凛 (福井県) |
帰り道夕陽に君が溶けそうで慌てて君の手を握る僕 | 小林 侑帆 (鹿児島県) |
水たまり反射する君を見つめてた水たまりの中は君だけの街 | 小林 梨花 (新潟県) |
消しゴムで書いた君へのメッセージ反射している窓側の席 | 笹川 珠奈 (新潟県) |
母さんの恋愛話を聞いた後夕食メニュー一つ増えてた | 古谷 真紘 (新潟県) |
何気無く「一緒に帰る?」と言う声で晴れ間が見えた雨の玄関 | 土田 一馬 (新潟県) |
受験には君の小さな消しゴムが味方になって筆箱に居る | 小林 諒太朗 (新潟県) |
この恋は平均台の着地よりむずかしいかも練習できず | 細川 万柚子 (岐阜県) |
台風はあなたに似ている大雨はあなたに似ている逃げられない私 | 野本 真吾 (長野県) |
私たち出会った頃の距離のまま口づけをした月に内緒で | 近藤 珠理 (京都府) |
甘党の私が好きになったのはカカオ九割ビターなあいつ | 大浦 美佑 (福井県) |
恋短歌面倒くさいと言いながら一限授業いつしか無言 | 久我 かおる (新潟県) |
つらい痛いきつい寂しい全ワード足しても足りない独りにしないで | 内田 萠 (東京都) |
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福井県立武生商業高等学校 |
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