
| 「コンゴより君を想ふ」とメールあり熱帯雨林の夜にいだかる | 大下 香 (広島県) | 
| 店先のナポリタンから浮くフォーク愛ある嘘は信じましょうか | 柴田 葵 (東京都) | 
| 突然にカラメルソースの味がした甘ほろ苦い午後四時のキス | 篠田 直輝 (福井県) | 
| 花びらに血の気が無いと気づく夜君が嘘吐く桜が死にゆく | 速水 碧 (大阪府) | 
| 体温と同化してゐるボールペンいきなり渡され手からときめく | 髙橋 美枝子 (宮城県) | 
| 蜜のある芯の近くをかじったら林檎の恋の終わりが近い | 古俣 知生 (新潟県) | 
| 古本屋茶色くあせた小説の栞にあった「好きです」の文字 | 荒木 優 (新潟県) | 
| 落ちる恋奪ふ愛にもためらひてひと生過ぎたりあぢさゐに雨 | 池田 晴子 (千葉県) | 
| 芽生えてもすぐに自分で芽をつんでリアリズムの中17の恋 | 川俣 晃太 (新潟県) | 
| 世界から色を消し去る雨の中目で追う君の水色の傘 | 村上 静郁 (愛媛県) | 
| 起きてたら飲みに来ませんか?月光の匂いの君のメールが届く | 村田 一広 (山梨県) | 
| 爺ちゃんとデートしたのと孫は問ういっぱいしたよ今もするよね | 山下 美和枝 (福井県) | 
| カルピスのべたつく舌で「好きです」と言ってしまえば終わりそう、夏 | 斉藤 亜美 (北海道) | 
| 正論をきつい言葉で言う妻にあなたはサラダを作ってくれる | 柴田 久美子 (兵庫県) | 
| 映画館間に置いたポップコーン君と手がふれ心がはじける | 道上 明日香 (福井県) | 
| 帰り道あなたを乗せた自転車がまだ帰るなと遠回りする | 伊地知 京汰 (静岡県) | 
| 電話越し声聞く度に夜空見るそして私は織姫になる | 髙木 絢菜 (大分県) | 
| 風鈴がかすかに鳴った八月の終わりに君が居た夏探す | 武者 紋未 (新潟県) | 
| わが妻の目元にできたしみひとつ今日は花でも買って帰ろう | 齊藤 充博 (東京都) | 
| また少し近づいた夜君の手の古傷のわけ尋ねたりして | 溝川 ゆき (京都府) | 
| きみに借りしノートに並ぶ数式の筆跡美しきを眩しみし夏 | 中原 弘 (千葉県) | 
| 6月の我よ心ゆくまで泣け「いい恋だった」と大人びないで | 長井 真琴 (愛媛県) | 
| 告げたきをひたすら堪ふる吾の前のあなたの眉に白きものあり | 杉野 裕子 (大阪府) | 
| きみが好き言えずに止まる僕の影励ますように揺れる向日葵 | 森本 咲良 (静岡県) | 
| 別れ際に柚子をあげよう思い出をそっと拾って香りの手紙 | 渡邉 恵 (沖縄県) | 
| グローバル英語は必須で必死です国際的な恋ねらいます | 高沢 崚平 (新潟県) | 
| 君からの「好き」を海馬に閉ぢ込めて歩いてをりぬメビウスの帯 | 泉 和也 (熊本県) | 
| 雪の日の一列になり歩くとき親鹿のように振り向く人だ | 相田 奈緒 (東京都) | 
| ふる里の野川をスーッと飛びゆきし蛍よわれは他郷に妻もつ | 幅尾 茂隆 (滋賀県) | 
| ちっぽけな君のかけらに恋をしたありがとねのねやごめんなのなに | 斎藤 佳南 (青森県) | 
| まだ恋の入り口にいる僕たちだたまごサンドを分け合いながら | 大橋 和人 (香川県) | 
| 好きだよと毎日いうと軽くなるだから時々大好きという | 前田 寿史 (北海道) | 
| 爽やかな君の笑顔にあいたくて五円高めの給油をしている | 鈴木 暎子 (千葉県) | 
| 心地よい印象だけが残ってる話題はきっとなんだっていい | 一條 智美 (大阪府) | 
| 窓側の席をゆずって乗るバスのきみの向こうに海を見ている | 鈴木 裕介 (埼玉県) | 
| 家揺らす風に耐えてる長い夜仮設の家に住む君想う | 荘子 隆 (宮崎県) | 
| しぼみたる朝顔二輪夕風にゆられてゐたり君に会ひたし | 丸山 順司 (京都府) | 
| 公園でフルートを吹く吾が妻は春の光に包まれ立てり | 二宮 正博 (福岡県) | 
| 癌を病むわれの後からついてくるインディアンサマーのような陽射しで | 西岡 徳江 (アメリカ) | 
| 捨てようとしていた小さな消しゴムも君に貸したら思い出になる | 西野 涼香 (福井県) | 
| 雨の日に仔猫に傘を差し出したそんな背中に恋をしました | 安倍 菜摘 (福井県) | 
| 水中に白き根伸ばすヒヤシンス想ひの丈を君に告げむか | 斎藤 洋子 (千葉県) | 
| 産み終へしわれにりんごをむきくるる君の指先父となりたる | 嶋寺 洋子 (滋賀県) | 
| 数式が風に吹かれて飛んでいく見つめてたのは窓際のきみ | 梶浦 果鈴 (徳島県) | 
| うつむいてさらりとおちる前髪のすき間にのぞくまつ毛に完敗 | 島村 日菜 (神奈川県) | 
| サンダルを右手に持って歩いてた波打ちぎわの夏の横顔 | 田邉 拓人 (新潟県) | 
| 漱石の「こゝろ」みたいな恋よりも素直に君が好きだと言うよ | 前田 悠斗 (新潟県) | 
| 帰り道桜の風が吹きぬけるいつだって君は不意に現れる | 有井 希大 (山梨県) | 
| 教室に君がいるから大好きな「今日」が続いて「毎日」になる | 樋野 菜々子 (宮城県) | 
| 朝もやの中を歩いて入籍し晴れのちくもりときどき愛す | 中村 けいこ (埼玉県) | 
| ほころびし君の靴下繕いて今朝の喧嘩の詫び状入れる | Masami    Lachmann  (アメリカ)  | 
                
| 告げぬまま君と見ており潔く花弁を反らすかたくりの花 | 村上 秀夫 (山形県) | 
| どうしても逢いたいひとがいる夜の庭のもみじがひっそり紅い | 藤田 美香 (福岡県) | 
| おすすめの一冊を語る君見つめ紅茶にはちみつ入れすぎている | 松本 紗矢子 (北海道) | 
| 心臓の一生の鼓動二十億の何分の一をあなたが奪う | 西川 歩美 (福井県) | 
| きみ想う私の気持ち風に乗せ届けよ思い届くな思い | 前田 瀬奈 (長崎県) | 
| 花火散るほんの刹那の暗闇に優しく降ったきみのくちづけ | 渋澤 真舟 (静岡県) | 
| この季節恋をしたらとせかすほど次々に咲く赤いひがんばな | 源 蓮 (熊本県) | 

東京学館新潟高等学校  | 
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福井県立武生商業高等学校  | 
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