| 青空は昨日の色して座椅子にもティーカップにも君のいた跡 |
森口 かな江 (福井県) |
| 暗号を解けば渡してくれますか君の心のあやうい鍵を |
古賀 由美子 (岐阜県) |
| ゴビ砂漠にて働く君へ電話して邯鄲(かんたん)の音を聞かせけるかも |
佐藤 まい (岐阜県) |
| 「好きです」が喉に詰まったままなのです甘いジュースで流してしまおう |
佐々木 未来 (神奈川県) |
| 届かない花に向かって登ってる小さな蟻がわたしのようで |
塚田 容子 (茨城県) |
| 君の傘奪っておけば良かったか三十年前時雨の街角 |
田名瀬 新太郎 (静岡県) |
| 大縄のリズム刻めど入れないあなたの会話に跳び込めジャンプ |
飛山 一枝 (福井県) |
| 夫の手でショートカットになりし髪秋風やさしく項なでゆく |
熊﨑 てる子 (岐阜県) |
| 大縄のリズム刻めど入れないあなたの会話に跳び込めジャンプ |
飛山 一枝 (福井県) |
| 夫の手でショートカットになりし髪秋風やさしく項なでゆく |
熊﨑 てる子 (岐阜県) |
| 君が来なくて本を一冊読み終えるラブストーリーになんてしなきゃよかった |
上野潤子 (福岡県) |
| 借りし本そっとページをめくりをり君の指先感じるやうに |
佐藤 美弥子 (福島県) |
| 靴ばこに紙が一枚入れられてきれいな字で「木の下に来てね」 |
西村 公幸 (広島県) |
| 夏の午後もらったサンダルぴったりでシンデレラより幸せなんだ |
岡田 憂海 (青森県) |
| 泣いている君の頭をなでている無人の駅に響く雨音 |
栗塚 光希 (福井県) |
| 「好きです」と手紙に書いて渡すとき口で言えよと風の悪戯 |
小石川 拓海 (宮城県) |
| バス停に霜柱鳴らし駆けてくる君の足音聞きわける胸 |
中下 重美 (兵庫県) |
| 今はまだお金が無いからあなたへのダイヤモンドの代わりにカナブン |
伊敷 徳師 (沖縄県) |
| 消しゴムを忘れてしまう僕がいて消しゴムを貸す君がいるんだ |
佐山 晃亮 (宮城県) |
| 夕暮れの駅のホームで目をとじる恋をしてたわたしはいない |
川野部 由佳 (東京都) |
| クッキーを作ってきたと手渡されひらいてみたらオレよりヘタだ |
伊東 大輝 (山形県) |
| もっともっと泣けばよかったのだろうか積もらぬ雪がわが裡(うち)にふる |
利光 弘子 (大分県) |
| 届かぬと知っているけど追いかける私は恋する葦なのである |
米盛 海都 (沖縄県) |
| 廊下にいる君が鏡に映ってる触れるとひんやりさみしさ募る |
座波 千鶴 (沖縄県) |
| 二月の女のチョコは凶器にもなりうるのです君が好きです |
玉田 佳穗 (福岡県) |
| 湯布院の絶叫大会山揺らし好きよ好きよの谺(こだま)返り来 |
古賀 一弘 (東京都) |
| 飽和してコップの底に残るのは甘すぎて重い私の心 |
富澤 奈緒 (東京都) |
| まるで詩のような鎖骨にふれながら愛を疑うことだってある |
合志 珠希 (神奈川県) |
| 一口のビールで子猫になる君を早く見たくて夕焼けの駅 |
奥原 剛 (東京都) |
| 父母の結婚前の古写真恥ずかしいほど恋が漂う |
叶 昌彦 (宮城県) |
| 主人公同士に生まれべつべつのものがたり生きるしかない、なんて |
山中 千瀬 (東京都) |
| 口紅を慎重にぬるスカートを慎重に穿くあのひとを待つ |
胡薇薇 (中国) |