大という字を百以上砂に書く続きの「好き」は渚に隠す | 佐次田 (沖縄県) |
琥珀いろのグラスの氷ふれあひて君のもぎたる梅の沈みぬ | 旭 千代 (千葉県) |
「青春は牢獄よ」なんていうきみを救い出すのだ!造れよ筏(いかだ)! | 山本 皓平 (大阪府) |
過去形で私を見つつ君の手はホットミルクの膜を除けり | 上村 由美子 (宮崎県) |
何通も手紙書くより君にだけ月のしずくがこぼれて当たれ | 宇都宮 千瑞子 (愛媛県) |
返信が遅くてもまた速くても揺れゆれているコスモスの花 | 梶山 志緒里 (広島県) |
たそがれに濃きところあり君の背を見つけて走る秋のはじまり | 悦子 ダンバー (アメリカ) |
突然に君に言われる「好きだよ」はカイロのようなナイフのような | 上野 詩織 (北海道) |
雲雀(ひばり)鳴くこの日の為におろしたて黄色のパンプス君へスキップ | 髙野 夏実 (神奈川県) |
教科書を丸めて作った望遠鏡星が振り向き時間が止まる | 寺阪 明莉 (福井県) |
花嫁のヴェールのようにカーテンを持ち上げる君六月の雨 | 藤沢 美由紀 (神奈川県) |
真っ直ぐな君の青さに包まれてはにかみながらひらくオルガン | 河合 美由紀 (愛知県) |
あえて今名前で呼ばない距離にいる最後に取っとく苺みたいに | 森塚 江里 (東京都) |
お祭りの余韻ゆらめく帰り道言っちゃえよってざわめくな金魚 | 田中 ましろ (大阪府) |
さよならをそっと頼んだ横丁の丸形ポスト今も艶やか | 松川 幸江 (埼玉県) |
部屋ひとつ用意するごと君だけのフォルダを作り初メール待つ | 板倉 亜澄 (愛知県) |
いらっしゃいませと奥から君の声ねぎも南瓜も春の色して | 岸野 由夏里 (京都府) |
あの人の肩にとまった赤蜻蛉こっちにおいでと私を見つめる | 遠藤 麻鈴 (東京都) |
好きですというべき箇所で(さくらんぼすっぱい)「ごめんね」としか言えない | Mizuha (兵庫県) |
リフレインしたきあの日の雪の音あなたの胸の時きざむ音 | ジーガー 須藤裕子 (ドイツ) |
君の前通るときだけ目をふせる少し切りすぎた前髪おさえて | 濱本 真梨也 (愛媛県) |
夏祭りゆかた姿の君を見て水風せんの波が静まる | 大塚 航輝 (福井県) |
泣いている彼女の涙を止められるそんなヒーローに僕はなりたい | 関口 宜杜 (富山県) |
秋風がはこんでくれた恋だから湯上がりのようにちょっとさびしい | 中下 重美 (兵庫県) |
蝉たちも一瞬のうちに口閉じて教室という世界に二人 | 澁田 裕加 (福岡県) |
君の背に耳を当てれば嘘さえも分かる気がした満月の夜 | 黒田 なお (千葉県) |
君のことどんどん好きになっていく切符覚悟のスピード違反 | 大窪 誠一郎 (兵庫県) |
笑顔でも少し困ったようになる君の眉毛がとっても好きだ | マキ マチコ (東京都) |
なれるなら栞(しおり)でもいい君の日を記す小さなひかりになりたい | さとう はな (岐阜県) |
中年の恋とも言えぬ淡きもの携帯電話の傷跡いくつ | 中西 勲 (福井県) |
竜胆(りんどう)が咲いて君へとメールするやっぱり好きよ今から会って | 鴨志田 佳奈 (茨城県) |
にぎった手思ったよりも小さいなぁ温かいなぁずっとにぎろっ! | 坂本 雄平 (神奈川県) |
観覧車てっぺんにつくその瞬間時も二人も止まればいいのに | 中島 萌 (東京都) |
向日葵が陽を向くように君に向く耳も目も手も声も言葉も | 丸山 志帆理 (大分県) |
飛び込んでみたいな君の涼やかなその瞳が孕む深い海へと | 水野 はつね (滋賀県) |
カレンダー赤い花丸咲いていく私が君と出会った日から | 福永 彩乃 (鹿児島県) |
帰り道顔が赤いと言ってみる夕日のせいと君は呟く | 小林 ゆう美 (福岡県) |
今日こそは告白すると決めた朝白菜ざくと一刀両断 | 横須賀 俊江 (埼玉県) |
昼休み一緒に食べるお弁当二つ並んだうさぎの林檎 | 岩上 詩織 (埼玉県) |
恋心バスケのドリブルするような鼓動伝わる心の奥から | 筑 友美 (埼玉県) |
大震災七ヶ月後の教室に恋のうた詠む子どもらがいる | 和井田 勢津 (青森県) |
意を決して告白したがかなわなく夜の川辺ですず虫がなく | 外間 福季 (沖縄県) |
流星をつかむがごとく君の名を呼んでは黒い夜を揺すって | 鳥海 (東京都) |
君が顔を近づけてものを話すから雨音が好き雨の日が好き | 小高 夏美 (奈良県) |
寒いねときみがこぼした溜息の白さに僕が熱を帯びてる | 岐 (奈良県) |
萩野きて脚につきたる草の実を投げれば君に弾ける慕情 | 西岡 徳江 (アメリカ) |
本当の気持ち聞こうと君見ればトウモロコシにかぶりついてた | 吉川 太郎 (京都府) |
不機嫌な君抱きしめるフィクションのようにやさしくできないけれど | 野原 裕人 (京都府) |
振り向かないそう知りながら追っていた改札の奥人混みの中 | 岡田 尚子 (千葉県) |
天の邪鬼二十一年してるけど今日の気持ちは裏返さない | 佐藤 真由子 (東京都) |
病室の窓から見える曼珠沙華その先に待つ君に会いたい | 神内 愛 (東京都) |
汐の香がしみたパーカー包まれてあなたの海で眠る夏の夜 | 萩原 亜季子 (群馬県) |
少しずつ彼の気持ちが冷めてゆく鍋に残ったシチューのように | えんどうけいこ (埼玉県) |
好きなんて今言わないで知恵の輪を力まかせに外すフリする | 勝俣 文庫 (静岡県) |
容赦なく滲みこんでくるきみは雨胸の砂場が息出来ぬほどに | 朝山 ひで子 (神奈川県) |
助手席のシートの角度同じだね変わっていない私の居所 | 川上 千尋 (愛媛県) |
鰯雲背に負いながらポケットの君と登らん穂高の山を | 野原 園子 (沖縄県) |
罪と知り告げていいかと問いかける足下に咲く撫子の花 | 金子 弘美 (岐阜県) |
福井県立武生商業高等学校 |
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埼玉県立久喜北陽高等学校 |
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東京都立駒場高等学校 鹿児島県立鶴丸高等学校 沖縄県立向陽高等学校 |