とりどりの色のおはじき散らばせてはじきあう指触れる一瞬 | 堀尾 美幸 (17) |
ペン先の1ミリ手前でゆれうごく想いのなかにうかぶひともじ | 横山 彰乃 (18) |
A4のコピーB5でとるように君の心が全部よめない | 遠山 ようこ (57) |
消しゴムと反比例して大きくなる教科書越しの君への視線 | 鈴木 さえ子 (17) |
恋すると国語の成績上がるんだあふれ出てくるキレイな言葉 | 菅澤 真衣子 (17) |
きっかけを待ってるだけの十七歳はホットミルクにそっと溶かして | 川村 静香 (18) |
背よのびろあと3cm高ければ一つ後ろのあなたのとなり | 笛吹 剛史 (18) |
ふと開くハローページに君の名の他人のように嵌め込まれおり | 鈴木 美津子 (55) |
生みたての卵の如き君の嘘その優しさをあたためてゐる | 大西 容子 (48) |
何故好きになったのだろうもしかして刃物研ぎする腕まなざし | 武藤 敏子 (55) |
学校であの子と廊下ですれ違うまた無意識に呼吸を止めた | 山下 穣 (17) |
家に着く直前だけど携帯で君を呼びたい「虹が出てるよ」 | 田畑 秀樹 (46) |
ドイツ語の辞書に挟めるもみじの緋海越え逢いにゆく日近づく | 髙栁 尚子 (38) |
その水の量をひそかに計りおり耳研ぎて聞くあなたの泉 | 滝田 倫子 (62) |
ふりむいて笑顔で相槌うちながらこころの引越し出来ないでいる | 上田 さかゑ (60) |
すれ違う君の視線が欲しくなり指ピストルで威かくしてみる | 三反崎 佐久子 (50) |
異国にて医療援助をともにせし君の賜びたる桃の甘さよ | 新地 浩一 (41) |
単身赴任の夫が日毎に炊事する厨に立てば利根川見ゆる | 石田 典子 (47) |
もくもくと怒りの湯気を出しながらシチュー煮詰める夜中の3時 | 佐々木 智世 (20) |